ゴルフクラブ選びに悩んでいる方の中で、よく比較対象になるのがダンロップの2大ブランド「スリクソン」と「ゼクシオ」です。同じメーカーから出ているのに、これらのブランドには明確な違いがあるのをご存知でしょうか?実は、ターゲットとするゴルファーのタイプ、クラブの設計思想、そして使用感まで、多くの点で異なっています。

今回は、ダンロップが展開する「スリクソン」と「ゼクシオ」の違いについて、具体的な特徴や性能の差、それぞれのモデルの特性まで詳しく解説します。アマチュアゴルファーとしてどちらを選ぶべきなのか、自分のプレースタイルや技術レベルに合ったクラブ選びのポイントもお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
記事のポイント!
- スリクソンとゼクシオの基本的な違いと、それぞれが想定するターゲット層
- ヘッド設計や打感の違いから、プレースタイルに合ったクラブの選び方
- 「ゼクシオX」というスリクソンとゼクシオの中間的位置づけのモデルの特徴
- スリクソンとゼクシオのスリーブの互換性やボールの違いなど、周辺情報も含めた総合的な理解
ダンロップが展開するスリクソンとゼクシオの違いとは
- スリクソンとゼクシオはどちらもダンロップのブランド
- スリクソンはアスリート向け、ゼクシオはアベレージゴルファー向け
- スリクソンとゼクシオの違いはヘッド設計に表れている
- ゼクシオは捕まりやすさ重視、スリクソンは操作性重視
- スリクソンとゼクシオのアイアンの違いは打感にも現れる
- ゼクシオXはスリクソンとゼクシオの中間的位置づけの特徴がある
スリクソンとゼクシオはどちらもダンロップのブランド
スリクソンとゼクシオは、どちらも住友ゴム工業(ダンロップ)が展開するゴルフクラブブランドです。同じメーカーから出ている製品でありながら、それぞれが異なるコンセプトで開発されています。
ダンロップは、ゴルフ用品の製造販売からゴルフスクールやゴルフ場の運営まで、幅広く手がけている国内でも大手のメーカーです。その中でゴルフクラブに関しては「ゼクシオ」と「スリクソン」という2つの異なるブランドで展開し、多様なゴルファーのニーズに応えています。
ゼクシオは2000年に初代ドライバーが発売され、現在は13代目となっていますが、今でもドライバー市場でトップクラスの人気と販売量を誇っています。一方のスリクソンは、ダンロップのプロモデルの系譜として2002年にW-201が発売されて以来、ツアープレーヤーにも多く使用されている実績があります。
両ブランドは、それぞれ異なるターゲット層を想定して作られているため、同じメーカーの製品でありながらも、性能や特徴に大きな違いがあります。プレーヤーの技術レベルやプレースタイル、体力などによって、どちらが自分に適しているかが変わってくるでしょう。
このように、スリクソンとゼクシオは同じダンロップの製品でありながら、それぞれ独自のブランドアイデンティティを持っていることがわかります。次は、両ブランドの具体的なターゲット層の違いについて見ていきましょう。
スリクソンはアスリート向け、ゼクシオはアベレージゴルファー向け
スリクソンとゼクシオの最も基本的な違いは、想定されているターゲット層にあります。一般的に、スリクソンはアスリートや上級者向け、ゼクシオはアベレージゴルファー向けという位置づけで開発されています。
ゼクシオは、幅広い層のゴルファー、特にヘッドスピードが比較的遅めのアマチュアゴルファーでも扱いやすいように設計されています。例えばゼクシオ13は、ヘッドスピード36~40m/sのユーザーを対象としています。軽くて振りやすい設計になっており、ミスに強いモデルが多いのが特徴です。
一方のスリクソンは、競技志向のゴルファーやプロフェッショナルプレーヤーに向けた設計になっています。たとえばZX5 Mk IIやZX7 Mk IIといったモデルは、ある程度のスイングスピードがあり、ボールコントロールの技術を持つゴルファー向けに作られています。
ゴルファーの年齢層で見ると、ゼクシオは40代以上の中高年層、スリクソンは20~40代の上級者向けという位置づけもされています。これは世界戦略の観点からも異なり、ゼクシオは主に日本国内市場、スリクソンは世界戦略モデルとして展開されているという違いもあります。
ただし、必ずしも年齢やスコアだけでどちらを選ぶべきかが決まるわけではありません。実際のところ、クラブが「向いている」「向いていない」は、スイングの仕方やパワー、プレースタイルによるものです。場合によっては、上級者でもゼクシオが合う人もいれば、アベレージゴルファーでもスリクソンが適している場合もあるでしょう。
このように、基本的なターゲット層は異なりますが、最終的には個人のスイングやプレースタイルに合わせて選ぶことが大切です。次は、より具体的なヘッド設計の違いについて見ていきましょう。
スリクソンとゼクシオの違いはヘッド設計に表れている

スリクソンとゼクシオの違いは、ヘッドの設計思想にも明確に表れています。それぞれのブランドが重視する性能の違いが、ヘッド形状や構造に反映されているのです。
ゼクシオの特徴的な設計として、「重心アングル」の大きさが挙げられます。重心アングルとは、シャフトを指で支えてヘッドを宙に浮かせたときに、フェース面が上を向く角度のことです。ゼクシオはこの重心アングルを大きく設計しており、ヘッドが自然にターンしやすく、振り遅れを防いでくれる効果があります。
さらに、ゼクシオはフェースが少し左を向いた「フックフェース」を採用し、ボールのつかまりを良くしています。これにより、多くのアマチュアゴルファーが抱えるスライス傾向を緩和する設計になっているのです。
一方のスリクソンは、フェースがややオープン(右を向いた状態)に設計されていることが多いです。最近のモデルではフェース向きの調整機能が付いているものもありますが、基本的には「叩いても左に行きにくい」特性を持っています。
また、スピン性能にも違いがあり、スリクソンは低スピンで中弾道が出やすい設計になっています。これは、ヘッドスピードが速い人にとって、スピン量が多くなりすぎて吹き上がってしまうのを防ぐ設計といえます。
インパクト音にも違いがあり、ゼクシオに比べてスリクソンの方がインパクト音が抑えられ、プロや上級者好みに仕上げられています。静かでありながらもソリッドな打感を得られるよう設計されているのです。
これらの設計の違いからわかるように、ゼクシオとスリクソンはそれぞれ異なるタイプのゴルファーのニーズに応えるために、細部まで工夫が凝らされています。自分のスイングやプレースタイルに合った設計のクラブを選ぶことが、より良いパフォーマンスにつながるでしょう。
ゼクシオは捕まりやすさ重視、スリクソンは操作性重視
ゼクシオとスリクソンの違いは、クラブの使用感や性能特性にも明確に現れています。それぞれのブランドが重視するポイントの違いを、もう少し詳しく見ていきましょう。
ゼクシオは「捕まりやすさ」を重視した設計になっています。つまり、ボールがつかまって(フェースが返って)、右に曲がりにくい特性を持っています。多くのアマチュアゴルファーが抱える「スライス」の悩みを解決するために、ヘッドが自然に回りやすく、インパクトで自然とフェースが戻ってくる感覚が得られるよう設計されています。
また、ゼクシオはフェースの反発性能も高く、ヘッドスピードが遅めのゴルファーでも十分な飛距離を得られる「飛び」の性能にも優れています。ボールが上がりやすく、直進性も高いため、ミスに強いクラブといえるでしょう。
一方のスリクソンは「操作性」を重視した設計です。ボールの曲がりをコントロールしたり、弾道の高さを調整したりといった、より繊細なショットコントロールが可能になっています。方向性や球筋をコントロールできることで、コース攻略の幅が広がり、様々な状況に対応できるのが特徴です。
スリクソンはドローボールとフェードボールの打ち分けや、高い球と低めの球の打ち分けなど、状況に応じた打球でコースにチャレンジできるドライバーです。これは、ある程度のスキルを持ったゴルファーにとって大きなメリットとなります。
しかし、これは必ずしもスリクソンが難しいクラブであるということではありません。適切なシャフトを選べば、ヘッドスピード40m/s前後の一般的なゴルファーでも十分に使いこなせるモデルもあります。
簡単にまとめると、ゼクシオは「誰でも簡単に、まっすぐ遠くに飛ばせる」クラブであり、スリクソンは「より意図したショットを打てる」クラブと言えるでしょう。自分のゴルフスタイルやスキルレベル、そして目指すゴルフの方向性に合わせて選ぶことが重要です。
スリクソンとゼクシオのアイアンの違いは打感にも現れる
ドライバーだけでなく、アイアンにおいてもスリクソンとゼクシオには明確な違いがあります。特に打感や操作性、そして飛距離性能に関して異なる特性を持っています。
ゼクシオのアイアンは、軽量で振りやすく、ボールが上がりやすい設計になっています。例えばゼクシオ13アイアンは、ダンロップ独自の構造で低重心化を徹底し、遠くまで飛ばすことを狙ったモデルです。薄肉のチタンフェースや特殊な溝の設計により、フェース全体が大きくたわむようになっており、高反発で抜群のボールスピードを生み出します。
また、ゼクシオのアイアンは強度の高い薄型のチタンフェースを採用し、フェース全体が大きくたわむのが特長です。これにより高反発で高い初速を実現し、安定した高弾道のショットが可能になっています。さらに、多くのモデルでL字のグルーブ(溝)がフェースの最下部近くまで伸びる設計を採用し、より大きなたわみを生み出しています。
一方、スリクソンのアイアンは、より洗練された鍛造技術を投入しています。例えばスリクソンZX5 Mk IIは、フェースの厚さがヒール側からトウ側にかけて最適なグラデーションで変化し、反発性能を高めつつも、コントロール性能や打感も重視した設計になっています。
特にZX7やZ-FORGEDといった上級者向けモデルでは、ソフトな打感と精度の高いスピン性能が魅力です。番手別に溝の設計を変えることで、ラフやそのほかの状況に応じた的確なスピンコントロールが可能になっています。
打感に関しても、ゼクシオは爽快な打球感を重視しているのに対し、スリクソンはよりソフトで吸い付くような打感を追求しています。特にZ-FORGED2アイアンでは、打点の裏側を肉厚にし、しなやかでボールが吸い付くような感覚を体感できる設計になっています。
重量面でも違いがあり、通常ゼクシオの方が軽く設計されています。例えばゼクシオ13アイアン(#7)は約364gなのに対し、スリクソンZ-FORGED2アイアン(#5)はS200シャフトで約422gと重めです。これは、それぞれのターゲット層が求める操作性や安定性の違いに対応したものといえるでしょう。
このように、アイアンにおいてもスリクソンとゼクシオはそれぞれ異なる性能と特徴を持っており、自分のスイングスタイルやプレー傾向に合わせて選ぶことが重要です。
ゼクシオXはスリクソンとゼクシオの中間的位置づけの特徴がある
ゼクシオブランドの中で特筆すべきモデルとして「ゼクシオX(エックス)」があります。このモデルは、従来のゼクシオと比べて、よりスリクソンに近い性能特性を持つモデルとして位置づけられています。
ゼクシオXは、ヘッドスピード40~44m/sのユーザーを対象としており、通常のゼクシオ13(ヘッドスピード36~40m/s向け)では物足りないユーザーのために開発されたモデルです。つまり、これまでのゼクシオシリーズのターゲット層よりも、さらに振れるゴルファーに向けて設計されています。
ゼクシオXの特徴として、通常のゼクシオより重めの設計になっている点が挙げられます。例えば、ドライバーのクラブ総重量は、フレックスSでゼクシオ13が286gなのに対し、ゼクシオXは301gと約15g重くなっています。また、シャフトもしっかりとした剛性を持ち、海外メーカーのドライバーを使っている人でも違和感なく使えるよう設計されています。
打感や操作性の面でも、ゼクシオXはスリクソンに近い特性を持っています。軟鉄鍛造のアイアンを採用し、ソフトな打球感と心地よい打球音を実現しています。バックフェースには溝が配置されており、フェースがよりたわみやすくなって大きな飛距離につながる設計になっています。
弾道特性としては、通常のゼクシオより低めで、バックスピン量も少なく、直進性が高いのが特徴です。試打データによると、同じゼクシオシリーズでもゼクシオ13と比べて、バックスピン量が約1000回転減少するとされています。
また、見た目の印象としても、ゼクシオXはよりスリクソンに近いデザイン特性を持っています。特にソールのデザインはブラックを基調としたカラーリングで、スリクソンの雰囲気を感じさせるものになっています。
このように、ゼクシオXはスリクソンの持つ「力強さ」とゼクシオの「やさしさ」のいいとこどりをした中間的なモデルと言えるでしょう。「スリクソンは重すぎる、ゼクシオでは軽すぎる」というゴルファーには、特におすすめのモデルです。

スリクソンとゼクシオの違いから見るクラブ選びのポイント
- スリクソンとゼクシオのボールには明確な違いがある
- スリクソンとゼクシオのスリーブには互換性がある特徴
- ゼクシオとスリクソンの歴史的背景とダンロップとの関係性
- ゼクシオはどこの国のブランドでどのようなイメージか
- スリクソンはおじさんというイメージよりも上級者向けの印象が強い
- まとめ:スリクソンとゼクシオの違いを理解して自分に合ったクラブを選ぼう
スリクソンとゼクシオのボールには明確な違いがある
ダンロップが展開するゴルフブランドの違いは、クラブだけでなくゴルフボールにも明確に表れています。スリクソンとゼクシオのボールは、それぞれ異なる特性と目的を持って設計されています。
ゼクシオのゴルフボールは、アベレージゴルファーでも扱いやすいように設計されています。例えば「ゼクシオ プレミアム」は、極上のソフトなフィーリングと大きな飛びを両立させたモデルで、従来モデルと比べて約8%ソフト化されています。新開発の「高反発 スーパーソフト ファストレイヤー 大径コア」と「高反発 ソフト アイオノマーカバー」により高初速化を実現し、低ヘッドスピードでもボールがしっかりつぶれるため、男性だけでなく女性でも高打ち出し低スピンとなる特性があります。
このような特性から、ゼクシオのボールは「とにかくやわらかい打感が好き」「ヘッドスピードは遅めだがもっと飛ばしたい」「スピン性能よりは飛距離性能を重視」というゴルファーに向いています。また、デザイン面でも洗練された美しさにこだわっており、贈答用としても人気があります。
一方、スリクソンのゴルフボールは、より競技志向のゴルファー向けに設計されています。例えば「Z-STAR」や「Z-STAR XV」といったモデルは、スピンコントロール性能やフィーリング、耐久性などプロフェッショナルな要求に応える性能を持っています。特にグリーン周りでのスピン性能や、風に強い弾道特性など、スコアメイクに直結する要素が重視されています。
スリクソンのボールは、スイング特性やプレー傾向に合わせて複数のモデルが展開されているのも特徴です。例えば一般的に、Z-STARはよりソフトな打感とスピン性能を重視するプレーヤー向け、Z-STAR XVはより飛距離を重視するプレーヤー向けというように、細かく性能が差別化されています。
ボールの選び方としては、クラブと同様に自分のスキルレベルやプレースタイルに合わせることが重要です。初心者やアベレージゴルファー、またはソフトな打感を好む方はゼクシオのボール、より競技志向が強く細かいショットコントロールを重視する方はスリクソンのボールが向いているでしょう。
また、ボールとクラブの相性も重要な要素です。ゼクシオのクラブを使っている場合は同じブランドのゼクシオボールと、スリクソンのクラブを使っている場合はスリクソンボールと組み合わせることで、それぞれのブランドが想定している最適なパフォーマンスを引き出せる可能性が高まります。
スリクソンとゼクシオのスリーブには互換性がある特徴
ゴルファーにとって、クラブのカスタマイズは重要な要素のひとつです。特にドライバーでは、自分のスイングに合ったシャフトを選ぶことでパフォーマンスが大きく変わることがあります。ここで注目すべきなのが、スリクソンとゼクシオのスリーブの互換性についてです。
実は、ゼクシオXのネック部分は、フェース角、ライ角、ロフト角を調整できる機能が備わっており、さらにスリクソンZXシリーズとの互換性があります。これは、様々なカスタムシャフトを試しやすく、自分に合ったセッティングを探るのに非常に便利な特徴と言えるでしょう。
具体的には、ゼクシオXのスリーブは、プラスマイナス1度のロフト調整が可能で、スリクソンのヘッドとシャフトを互換して使用することができます。これにより、例えばスリクソン用に購入したアフターマーケットシャフトを、ゼクシオXヘッドに装着するといったカスタマイズが可能になります。
この互換性は、ゴルファーにとって大きなメリットとなります。例えば、スリクソンのヘッドを使っていたけれど少し難しく感じてきた場合、シャフトはそのままでゼクシオXのヘッドに交換するといった柔軟な対応が可能です。また、シャフトだけを変えて弾道や操作性をチューニングすることもできます。
ただし、通常のゼクシオモデル(ゼクシオ13など)には調整機能がなく、「クラブについていろいろいじらずそのまま打ってください」というスタンスで設計されています。これは、ゴルファーを悩ませないというゼクシオのポリシーとも言えるでしょう。
一方のスリクソンには調整機能があるため、スイングについて知識がある方は使いこなすことができます。これは「考えることができるクラブ」として、クラブと向き合う姿勢の違いを表しています。
このように、スリクソンとゼクシオXの間にはスリーブの互換性があり、より柔軟なクラブセッティングの可能性が広がります。自分のプレースタイルやスキルレベルの変化に合わせて、ヘッドとシャフトの組み合わせを最適化することができるのは、ダンロップユーザーにとって大きなアドバンテージと言えるでしょう。
ゼクシオとスリクソンの歴史的背景とダンロップとの関係性
ゼクシオとスリクソン、そしてこれらを展開するダンロップの関係性についても理解しておくと、両ブランドの違いがより明確になります。その歴史的背景と企業戦略について見ていきましょう。
約10年前から、ダンロップと住友ゴムグループの資本関係に変化がありました。具体的には、約7年前(2014年頃)に日本ダンロップを住友ゴムグループが買収し、海外でのブランド展開に影響が生じました。この結果、海外では住友ゴム工業(SRI)が「DUNLOP」を名乗れない状況になったのです。
このような背景から、ワンメーカーワンブランドの意識の下、ブランドの画一化が図られました。ちょうど松下電器がナショナルや松下の冠をなくしてパナソニックへ統一したように、ゴルフ用品メーカーもその流れに乗り、特定のブランドに絞る戦略を取ったのです。
ゼクシオとスリクソンの販売戦略については、その対象層だけでなく、販売地域にも違いがあります。ゼクシオは主に日本国内向けのブランドとして位置づけられているのに対し、スリクソンは世界戦略モデルとして展開されています。この背景には、ゼクシオのブランドロゴが海外では使用できないという事情があるようです。
また、ブランドのポジショニングとしては、ゼクシオがオールマイティで40代以上の中高年層向け、スリクソンがアスリート・セミアスリートのハードヒッターモデルで20~40代の上級者向けという明確な区分けがされています。
このように、ゼクシオとスリクソンは単に性能や特性の違いだけでなく、企業戦略や市場戦略の観点からも明確に差別化されているのです。日本市場ではゼクシオが圧倒的な支持を得ている一方で、世界市場では松山英樹選手をはじめとするプロゴルファーが使用するスリクソンが知名度を高めています。
住友ゴム工業の戦略として、国内と海外で異なるブランド戦略を取りながらも、それぞれの市場において強固なブランドイメージを構築していると言えるでしょう。このような背景を理解することで、なぜ同じメーカーから性格の異なる2つのブランドが展開されているのかが見えてきます。
ゼクシオはどこの国のブランドでどのようなイメージか

ゼクシオというブランドは、日本の住友ゴム工業株式会社(ダンロップ)が展開するゴルフブランドです。名前の由来は明確には公開されていませんが、シックスとゼロを組み合わせた造語との説もあります。
日本国内では、ゼクシオは非常に人気の高いゴルフクラブブランドとして知られています。特にドライバーは国内市場でトップクラスの販売数を誇っており、打ちやすさと飛距離性能を両立した「国民的ドライバー」とも言えるポジションを確立しています。
ゼクシオのイメージとしては、「アベレージゴルファーに優しい」「初心者でも扱いやすい」「40代以上の中高年層向け」といった要素が強く、特に日本のゴルフ市場の特性に合わせた製品開発がなされています。ゴルフ人口の高齢化や女性ゴルファーの増加といった日本市場の特徴を踏まえ、軽くて振りやすく、ミスにも強いクラブ設計が支持されているのです。
また、ゼクシオは一部では「おじさん臭い」というイメージを持たれることもありますが、これは主要なユーザー層が中高年であることに起因しています。ただし、最近のモデルでは若いゴルファーにも受け入れられるようなデザインやカラーリングを取り入れ、イメージ刷新も図られています。
特に注目すべきは、ゼクシオのレディスモデルです。こちらは単なるメンズの軽量バージョンではなく、女性専用に設計されています。クラブの形状、性能だけでなく、打球音までもが女性向けに調整されており、例えば打球音は女性の一般的なヘッドスピードでも心地よい音が出るように設計されています。また、デザイン面でも女性らしさや上品さを意識し、「Chic(シック)」というコンセプトのもとに転写マークにチャームを想起させるアイコニックなデザインが採用されています。
一方、海外市場ではゼクシオは日本ほどの知名度はなく、主に日本国内向けのブランドとして位置づけられています。これは前述したように、ブランドロゴの使用権の問題もあるとされています。国際的な展開はスリクソンブランドを中心に行われており、ゼクシオは主に日本市場で強いブランド力を持っています。
このように、ゼクシオは日本発のゴルフブランドとして、特に国内市場でアベレージゴルファーから強く支持されているブランドと言えるでしょう。その優しさと高い性能のバランスは、日本のゴルフ文化に深く根ざしたものだと考えられます。
スリクソンはおじさんというイメージよりも上級者向けの印象が強い
ゼクシオが「おじさん向け」「アベレージゴルファー向け」というイメージを持たれることがある一方で、スリクソンはどのようなイメージを持たれているのでしょうか。スリクソンについては、「おじさん」というイメージよりも「上級者向け」「競技志向」という印象が強く持たれています。
スリクソンは、その性能や設計思想からプロや上級アマチュアゴルファーから支持されているブランドです。松山英樹選手をはじめとする多くのツアープロが使用しており、競技での実績も豊富です。例えば、2022年のツアー選手権では松山英樹選手がスリクソンのZXi LSドライバーを使用し、「ラクっ!試合で曲がりはじめたら使おうかな」とコメントしたというエピソードもあります。
スリクソンの年齢層としては、20~40代の比較的若い層をターゲットにしていますが、実際には年齢よりもゴルフのスキルレベルや競技志向の強さが選択の基準になっています。例えば50代以上のゴルファーでも、競技ゴルフを行う上級者であればスリクソンを選ぶことが多いでしょう。
また、スリクソンは日本だけでなく世界戦略モデルとして位置づけられています。そのため、国際的な基準で設計されており、海外メーカーのクラブに慣れたゴルファーにも違和感なく使えるよう作られています。このグローバルな視点も、スリクソンのイメージ形成に影響しているでしょう。
スリクソンを使用するゴルファーの口コミや評判を見ると、「他メーカー品と比較すると1発の飛距離は負けるかもしれませんが安定しています」「取り回しや直進性が良くて安心して打つことができます」などのポジティブな評価が見られます。これは、スリクソンが単純な飛距離だけでなく、安定性やコントロール性を重視した設計であることを示しています。
一方で、「今迄のSシャフトと比べてはるかにハードでした。ヘッドスピードが遅い身ではとても使える品物ではなく、飛ばないクラブでした」というような声もあり、ある程度のスイングスピードやスキルがないと性能を引き出しにくい面もあるようです。
特にスリクソンの新しいドライバー「ZXi MAX」では、「寛容性の高さ」と「直進性」を両立させた設計が特徴となっています。これまでのスリクソンシリーズにはなかった高弾道と直進性、そして絶妙なつかまりやすさを備えているとされ、「ゼクシオ エックス」よりも直進性が感じられる印象があるという評価もあります。
このように、スリクソンは「おじさん」というイメージよりも、スキルレベルや競技志向の強さに基づく「上級者向け」という印象が強いブランドと言えるでしょう。ただし、近年ではモデルラインアップを拡充し、より幅広いゴルファーに対応する傾向も見られます。

まとめ:スリクソンとゼクシオの違いを理解して自分に合ったクラブを選ぼう
最後に記事のポイントをまとめます。
- スリクソンとゼクシオは同じダンロップ(住友ゴム工業)が展開するゴルフブランドだが、ターゲット層が異なる
- ゼクシオはアベレージゴルファー向け(ヘッドスピード36~40m/s)で、スリクソンはアスリート向け(より速いヘッドスピード)
- ゼクシオはボールのつかまりやすさや高弾道を重視した設計で、スライス傾向のゴルファーに適している
- スリクソンはボールコントロールや操作性を重視した設計で、意図的な球筋を打ち分けたいゴルファーに適している
- ヘッド設計では、ゼクシオは重心アングルが大きくフックフェース、スリクソンはややオープンフェースという違いがある
- ゼクシオXはゼクシオとスリクソンの中間的な位置づけで、ヘッドスピード40~44m/sのゴルファーをターゲットにしている
- アイアンでは、ゼクシオは薄肉チタンフェースで高反発、スリクソンは洗練された鍛造技術で打感とコントロール性を重視
- ボールも異なり、ゼクシオボールはソフトな打感と飛距離性能、スリクソンボールはスピンコントロール性能に優れている
- スリクソンとゼクシオXのスリーブには互換性があり、カスタマイズの可能性が広がる
- ゼクシオは主に日本市場向け、スリクソンは世界戦略モデルという販売戦略の違いがある
- クラブ選びでは年齢やスコアだけでなく、スイングの特徴やプレースタイル、求める性能を考慮することが重要
- 試打を通じて自分に合ったモデルを選ぶことで、最大限のパフォーマンスを引き出せる